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君と偽りのドライブに
第23章 2‐12:トーストの香り
二人でトーストを齧りながら、今日どうするか、という話をする。昨日結構体を動かしたので――もちろんハイキングという意味で――今日はゆっくりしたいと言うと、彼は賛成してくれて、それから二人で家の中でごろごろした。
お昼ごはんは、ありもので私が作らせてもらって、彼はおいしいおいしいと言いながら食べてくれた。
暗くなった頃に外に出て、適当なファミレスで夜ごはん。
うん、たまにはお洒落なお店で気張るのもいいけれど、やっぱり普段はこういう店でいい。哲弥となら。
帰りにドラッグストアに寄って、クレンジングや乳液を買い足す。
哲弥も半分払おうとしたけれど、私の使うものしか買っていないので、そこはさすがに遠慮した。
明日は仕事だ。私はそのまま電車で帰るつもりだったのだけれど、哲弥が車で送ると言い出した。
もう遅いからと断ろうとすると、俺が有紗といたいから、と、さらっとそんな台詞を、赤い顔で吐く。
そう言われてしまったら、断ることなどできなかった。
彼の車の助手席に乗るのが、こんなに好きになってしまった。