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君と偽りのドライブに
第7章 1‐6:香澄ちゃん
そういえば、怒っても声を荒らげないところとかはポイント高いかな。
落ち着いてるというか……だから運転が上手いのかも、と、私は哲弥の横顔を思い浮かべた。
かっこよかったなあ、と同時に、褒めたときの恥ずかしそうな照れ笑いも思い出す。
かっこいいんだけど、可愛いときもあって、素直に動揺してくれちゃって。
テーブルの下で、こっそり私は自分の小指をさすった。
思い出すと、きゅっとおなかの奥が切なくなる。
いやいや、みんなの前で、私は何を考えているんだ。
「よくわかんないや」
結局私は、そう言った。
「全部、かな」
「全部かあ〜」
香澄ちゃんが目を細めて私を眺めるのは、恥ずかしかったけれど、後ろめたくはなかった。
私はそれで、今の自分の答えが、間違いじゃないことを確信する。