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君と偽りのドライブに
第12章 2‐1:デート
「……そうだな」
彼はようやく持ち直したようで、顔を上げ、ゆっくり車を動かし始めた。
「近くのお店調べるね」
私がスマホを出して検索を掛け、彼はとりあえず近くのコンビニの駐車場に車を入れた。
エンジンを切り、彼もスマホを出す。
「このあたり、詳しいの?」
「いや、まあ、そこまで。前に仕事で来たとき、たまたまあの店教えてもらっただけ」
「……誰に?」
「前任の先輩」
男性か女性か、と気になってしまった自分を慌てて脳内から追い出す。
仕事なんだからそういうこともあるでしょう。
「けど、今日行く山にはたまに来るんだったよね」
「まあ。体動かすのにちょうどよくて」
「そういうときはごはんどうしてるの?」
「さっきのカフェか、気分ではラーメン、まあ時間帯によってはコンビニで買って、山道の途中の休憩所で食うぐらい」
それ――それ、めちゃめちゃいいじゃん、と素直に思った。