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君と偽りのドライブに
第13章 2‐2:ハイキング



 しばらく歩くと、ふっと視界が開け、広場に出た。
心地よい風に、はしゃぐ子どもたちの声が乗って流れてくる。いよいよ頂上だ。



「気持ちいいー!」



 広い青空にテンションが上がり、私は展望広場の柵まで駆け寄った。
それを微笑ましく眺めながらゆっくり追う彼はまるで保護者みたいで、子どもっぽい真似をしてしまった自分がちょっと恥ずかしくなる。

けれど、まあいいか。哲弥の前で今さら格好つけることもない。



 一望できる市街地を、なんとか写真に収めようとスマホを構えて四苦八苦する私を、哲弥は近くのベンチの背凭れに頬杖をついて見ていた。



「哲弥はこの景色、もう見慣れてる?」

 私がひととおり満足して哲弥の隣に座ると、哲弥は、いや、と言葉を濁した。

「そうでもないよ」

「そう?」

 白い雲がゆっくりと流れていく。
老夫婦が並んで遠くの景色をじっと眺めている。
遠くで子どもたちが鬼ごっこをしている。

 本当にいいところだ。今まで知らなかったのがもったいない。



「また連れてきてね」

「いつでも」


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