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君と偽りのドライブに
第13章 2‐2:ハイキング



 ベンチからでも、空の広さは変わらない。
私は背凭れに体を投げ出して、空を見上げた。



 ふたりは、しばらく無言で座っていた。
哲弥はもともと口数が少ないほうで、いつも私がうるさくしてしまっていたけれど、今ばかりは、私も黙ってふたりでただ座っていた。



 何分経っただろうか。

「……あのさ」

 哲弥がこちらを見ないまま、そう言った。

「なあに?」



「話が……あるんだけど」

 重苦しい口調だった。



 心地いい秋の昼下がりには、似つかわしくない声だった。

「……何? 悪い話?」

「悪い話……ではないと、思う。本当は、夕飯のときに言おうと思ってたんだけど」

 彼が、迷うように、ゆっくり言葉を選ぶ。



「その……やり直させてもらえませんか」

「……何を?」

 話が見えない。



「…………」

 彼は目を泳がせる。私は居住まいを正して彼の次の言葉を待つ。



「……告白、を」



 ああ、この人は本当に……真面目だ。


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