この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君と偽りのドライブに
第13章 2‐2:ハイキング
ベンチからでも、空の広さは変わらない。
私は背凭れに体を投げ出して、空を見上げた。
ふたりは、しばらく無言で座っていた。
哲弥はもともと口数が少ないほうで、いつも私がうるさくしてしまっていたけれど、今ばかりは、私も黙ってふたりでただ座っていた。
何分経っただろうか。
「……あのさ」
哲弥がこちらを見ないまま、そう言った。
「なあに?」
「話が……あるんだけど」
重苦しい口調だった。
心地いい秋の昼下がりには、似つかわしくない声だった。
「……何? 悪い話?」
「悪い話……ではないと、思う。本当は、夕飯のときに言おうと思ってたんだけど」
彼が、迷うように、ゆっくり言葉を選ぶ。
「その……やり直させてもらえませんか」
「……何を?」
話が見えない。
「…………」
彼は目を泳がせる。私は居住まいを正して彼の次の言葉を待つ。
「……告白、を」
ああ、この人は本当に……真面目だ。