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君と偽りのドライブに
第14章 2‐3:恋人
哲弥の希望ならと、それから私たちは駐車場まで手を繋いで帰った。
哲弥は道中何度か手を解いて、汗ばんだ手のひらを自分のジーンズで拭った。
「高校生かよ」
いや、今どき高校生でもそんな可愛くないぞ。中学生か?
「……るさい」
私のツッコミに返す哲弥の声は、あまりにも小さかった。
彼の愛車に近づきながら遠隔でキーを解除し、まるでエスコートするように、彼は助手席のドアを開ける。
「ありがとう」
私は彼の手を離し、助手席に乗り込む。
その間、彼はドアを押さえてくれていた。
「ありがとう。もういいよ」
スカートを直して腰を落ち着けた私は、ドアを引き取ろうと内側のノブに手を掛けたけれど、彼はドアから手を離さなかった。
「……哲弥?」
もう日が傾き始めていた。
秋の斜陽を背負って影になった彼の顔がよく見えなくて、動かない彼の真意が掴めなくて、私は身を乗り出すようにドアからちょっと顔を出した。
そこに、彼がキスをした。