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君と偽りのドライブに
第16章 2‐5:蛍光灯のついた部屋



「どうして」

「その気になれない相手と、無理にするもんじゃないよ」



 ……その気になれない?



「とはいえこのまま泊まられると、俺のほうがしんどいので」

「その気になれないなんて、言ってないよ」

「そういうことでしょ? 昔から知ってる俺じゃそういう目で見れないから、電気消せって」



 彼の口調はさっきよりちょっと乱暴で、抑えているようだったけれど、怒っていることは明白だった。



「違う!」

 私はベッドから這い出して、玄関の彼に駆け寄った。
今度後ろから抱き締めるのは、私の番だった。



 泣きそうだった。哲弥を傷つけた。



「違うの、そういうことを言いたいんじゃなくて」

 私の言い方が悪かった。一生懸命言葉を探す。

「哲弥のこと、昔から知ってるけど、こんな……こと、するなんて思ったことなかったから、今さら恥ずかしいっていうか、どんな顔したらいいかわからないっていうか……してる間も、終わったあとも」


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