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12歳年下の彼に看病される話
第6章 11月の出来事
そう笑顔で港斗君が言って来て。
その日の夕食は、彼が作ってくれた
雑炊を一緒に食べて。
片付けを済ませてから。
食後のデザートに彼のお手製の、
缶詰めのみかんが入った
牛乳寒天を一緒に頂いたんだけど。
何だか…変な…気分…だなって。
自分がインフルエンザなのに、
港斗君はマスクもつけないで、
私の隣に普通に座って居て。
一緒にテレビを見て、一緒にご飯を食べて。
「あれも、用意してくれたの?
冬物のダブルサイズのボックスシーツ」
毛布の様な肌触りの素材の
紺色のボックスシーツが
脚付きのマットレスには掛かって居て。
『はい、もう…11月ですし…。
寒くなりますからね。だって、
折角、巴さんの看病しに来てるのに
あっちの部屋で寝られちゃたら。
僕こっちで一人で寝ないと
ダメになっちゃうじゃないですか…』
「やっぱり…もしかしても
もしかしなくても…、
ここで、一緒に寝る…んだよね?」
巴がスプーンでガラスの器に
カットして入って居る
牛乳寒天をすくうと。
パクっと…自分の口に入れる。
ミルクの匂いと…、缶詰のみかんの味と。
ほんのりとした素朴な甘みを感じる。
『ええ。だって、僕は無敵期間ですよ?
一緒に寝たって大丈夫ですし、
キスしたってインフルなりませんよ?
巴さん、美味しいですか?牛乳寒天』
「うん、ちょっと
喉が腫れてるみたいだから。
飲み込みにくい感じがするから、
牛乳寒天…、食べやすいし美味しいよ」
『まだ残ってるので、
明日の朝にも食べられますよ。
巴さんが、別のフルーツが良いって
言うなら、別のフルーツで
作りますからね?片付けは僕が
するんで、巴さんは、これを食べたら
お薬飲んで、歯磨きして休んでくださいね』
「うん、ありがとう…港斗君。
お言葉に甘えさせて貰ってそうするね」
自分が…中学生の時に、
インフルエンザになった時と
雲泥の差だなって思ってしまう。
自分の部屋にこもって過ごして。
トイレに行くのに部屋から出た時に、
他の家族と鉢合わせた時の。
嫌そうな…顔…露骨にされるの…とは
全然違うなって…思ってしまう…。