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ジュエリー
第2章 別離

「お前の良人は俺だ。……女の分際で女と不貞を働くなんぞ、破廉恥なことをしよって……男でなければ法に反しないとでも思ったか?とんだ阿呆だ。生命医学の冒涜だ。俺がお前にどんな不満を持たせた?え?受験を控えた子供もいるんだ。あいつがまともにならなかったらお前の責任だ。お前は俺のものだ。身のほどをわきまえろ……わきまえろ……!」

「うっ……ひぁああっ……!」


 ずぶずぶ、という、宝石と広松の脚と脚の間を立つ水音が、珊瑚の心房を打つ。残忍なおしべが、たとしえなく甘い海を犯す。可憐な花蜜が狂暴なファルスに怯えているのか、宝石の呻吟に重なって、広松からも苦痛の喘ぎがこぼれ出た。

 揺さぶられる肉体、狂暴な往復運動の正鵠に据えられた宝石は、あまりに白く脆弱で、女体が陶器やガラスだったら、とっくに壊れていただろう。


 広松が宝石の衣服を整えて、元の通りに縄を巻いた。傲慢なベルトの音を鳴らして、彼が珊瑚に顔を向けた。


「これが男だ。夫婦の絆だ……お前のままごとでは、永久に到達しない常識だ。分かるまで存分に見せてやる……」

「──……」
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