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ジュエリー
第1章 宝石は珊瑚に恋をする





 たつきは小学二年の夏休み、広松と自然公園へ出かけた。広松の手製の弁当を食べて、炎天下の緑の中、スケッチブックに写生したり、キャッチボールをしたりして、よく笑った。

 あの行楽は、父との数少ない思い出だ。

 中学受験を終えた晩冬、その父から祝いをもらった。図書券だった。好きな本を買いなさい。それは久しく彼が、たつきの主体性に肯定的になった言葉だった。

 たつきは幸せな子供だった。しかし成長するにつれて、競わねばならない対象、乗り越えねばならない壁が増えてゆく。広松はたつきを励ましはしても、労ってはくれなくなった。むしろ最近の広松は、たつきの人格が反映した言動にとり合わず、常に従順、常に優秀な息子の仮象をこよなく愛するきらいが強い。時間も金もあり余った世間の親が子にかける期待、それは時に無稽の桎梏になり下がる性質を兼ねる。たつきは、広松にとりとめない胸の内も垣間見せられなくなっていった。

 こうなれば、たつきは幼少期の自身を憎んだ。

 広松に可愛がられていた自分、浅はかでさえあった、子供特有の無邪気さを笑ってもらえていた自分、何の努力もしないで彼の関心を引いていた少年が、憎らしい。
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