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残り火
第3章 水曜日



 昨日の空をそのまま写し取ったような、
色の濃い雲が空一面を覆っている。
今日はさらに気温が下がるそうだ。
水曜日。
私は暇をもて余している。
部屋の掃除はめんどくさいし、
洗濯物はどうせ乾かないし、
食器洗いは朝食昼食分と合わせて夜にすればいい。

 俊郎絡みではないすべてのことが無駄に思える。
俊郎のためなら、部屋は隅々まで掃除するし、
俊郎の着たものなら、下着であっても手洗いしてもいい。
俊郎のためになるなら、
どんなことも厭わずにするのに。
こうして俊郎のことを考えているだけでも、
気持ちがほっと温かくなる。
目を閉じれば、
すぐに俊郎はまぶたの裏に、会いにきてくれる。
笑ったときにできる頬の縦皺、
白髪混じりの無精ひげがすごく色っぽくて、
筋が浮き出る喉も筋肉の落ちた胸板も、
ごつごつした手の甲も、
若い子には出せない魅力だと、
俊郎が気づかせてくれた。
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