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残り火
第3章 水曜日
 暇があれば、
私は俊郎のことばかり考えている。
想像ではない現実の俊郎に会いたい。
俊郎と一切の関わりのないこの部屋は、
冷たくて重くて息苦しい。
まるで牢獄だ。
私は捕えられている。
鎖が体に巻きついているように、
体の自由を制限されている。
俊郎もまた、捕えられている。
私たちはそれぞれの家族に、
がんじがらめにされている。
ほんの少し、タイミングがずれただけ。
俊郎がもっと早く現れてくれていたら、
私がもっと早く俊郎を見つけていれば、
だれにも邪魔をされなかったのに。

 俊郎がそばにいないとき、
私は半分死んでいる。
存在している意味がないとさえ思える。
俊郎と出会うまで、
私はなんのために生きていたのだろう。
なんて無意味な人生を送っていたのだろう。
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