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残り火
第3章 水曜日
 昨日と同じ場面をもう一度再生しているように、
俊郎はそこにいた。
待っていてくれたのだ、とすぐにわかった。
俊郎は私を見つけるなり、
ほとんど泣き出しそうな笑顔を見せた。
たぶん、私も同じ顔をしていたと思う。

 しっくりときた。
ジグソーパズルの凹と凸が、
ぴったりとはまったような、
はまった瞬間に継ぎ目が消えて見えなくなるような、
過不足のない完璧な合致だった。

 よかった、会えた。
昨日はなにか大変な失礼をしてしまったようで、
申し訳ありませんでした。

 俊郎は言い、頭を下げた。
私はもうたまらなくなってしまって、
俊郎に抱きついていた。
俊郎が戸惑うかも、とか、
だれか見てるかも、とか、全然頭になかった。
とにかく全身で俊郎を感じたくて、
抱き締めずにはいられなかったのだ。
俊郎の腕を背中に感じて、
私はより深く俊郎の懐に沈み込む。

 もう離したくない。
離さない、と思いながら。
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