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残り火
第4章 木曜日
 俊郎が力尽きたように覆いかぶさってきたとき、
飛んでいってしまいそうな意識の片隅で、
初めて出会ったときの「あ」の意味を悟った。
それは、「あ、見つけた」の「あ」だった。
考えたこともなかったのに、
会った瞬間に特別なひとだと気づいていた。

 あれ以来、私は俊郎のものになった。
俊郎も私のもの。
もともとひとつだったから、
という気がしているので、それは当然の感覚。
俊郎と出会う前、
私は俊郎なしでどうやって生きてきたのだろう。

 俊郎なしの人生なんて考えられない。
いてくれないと、生きていけない。
もう二度と、離ればなれになりたくない。
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