この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
残り火
第6章 悪魔
右手のひらが、俊郎をひっぱたいた感触を思い出して、
びりびり痺れている。
俊郎とは電話でもラインでも、
一切の連絡をとらないようにしているので、
そのことを怒っているかどうかの確認は取りようがない。
でも私にはわかる。
俊郎も今頃、私にひっぱたかれた感覚を思い出して、
頬がじんじんしている。
待ち合わせの場所に、すでに俊郎は来ていた。
でも体が来ていただけで、心は来ていなかった。
そばに立って顔を覗き込んでようやく、俊郎は私を認め、
かろうじて笑ったとわかる程度に表情を動かせた。
「はい、これあげる」
挨拶代わりに私は言い、
ぬるくなった缶コーヒーを俊郎に押し付けた。
今日こそは仲良く楽しく過ごしたいって気持ちは、
早くも挫けそうになっていた。
「微妙な温度だ」
俊郎はひっそりと笑いながら言った。
さみしい笑顔だった。
びりびり痺れている。
俊郎とは電話でもラインでも、
一切の連絡をとらないようにしているので、
そのことを怒っているかどうかの確認は取りようがない。
でも私にはわかる。
俊郎も今頃、私にひっぱたかれた感覚を思い出して、
頬がじんじんしている。
待ち合わせの場所に、すでに俊郎は来ていた。
でも体が来ていただけで、心は来ていなかった。
そばに立って顔を覗き込んでようやく、俊郎は私を認め、
かろうじて笑ったとわかる程度に表情を動かせた。
「はい、これあげる」
挨拶代わりに私は言い、
ぬるくなった缶コーヒーを俊郎に押し付けた。
今日こそは仲良く楽しく過ごしたいって気持ちは、
早くも挫けそうになっていた。
「微妙な温度だ」
俊郎はひっそりと笑いながら言った。
さみしい笑顔だった。