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残り火
第7章 残り火
 年が明け、一月が終わり、
年々ひどくなる花粉症の受診のために総合病院を訪れた。
去年まで通っていたクリニックに不満があるわけではないけど、
ここの内科の先生の評判が良かったからだ。
受付を済ませたけど、すでにきたことを後悔し始めていた。
長椅子がたくさん並んでいるのに、座る場所がない。
これでは風邪をうつされにきたようなものだ。
私はなるべくひとの少ない場所に行き、
柱にもたれかかって順番を待った。

 内科は総合受付のすぐ近くだった。
病院内はどこもかしこも白くて、寒々しかった。
母親に鼻を拭いてもらっている男の子と目が合い、
私は即座に目を逸らす。
子どもは苦手だ。
奇声を発したり迷惑を考えずに走り回ったり、
ひとの顔をじっと見ていたり、遠慮がない。
松葉杖をついたおじさんは作業服を着ていて、
あんな足でも仕事するんだな、と感心する。
3人連れのおばさんたちは、
どこか悪いとこあるのって思うくらい元気に談笑している。
会計を済ませた女のひとは、まだわかりにくいけど、
どうやら妊婦さんのようだ。
財布を仕舞いながら振り返ると、
小さな女の子の手を引いた若いお父さんが近づいていき、
笑顔で一言二言言葉を交わした。
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