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絶対に許さないからね
第11章 大事なもの



 今電話していいか、
と兄からラインがきたので、
いいよ、と返すとすぐに電話が鳴った。
温泉から帰った詩子が、
カレーが食べたいというので、
玉ねぎを刻んでいたところだ。
目に沁みる対策の水中ゴーグルを外して電話に出た。

「お、カレーか。うまそうなにおいがしてるな」

 開口一番、兄が言った。

「え、うそ、なんでわかるの?」

 びっくりして聞いてみると、
ふふんと兄は笑った。

「母さんから聞いたよ。
詩子、帰りの電車の中で、
ああお母さんのカレー食べたい、
って何回も言ってたってさ」

 なんだ、そういうことか。
なにも考えていなかったので、
受話器を通してにおいが伝わったのかと一瞬思ってしまった。
まだカレールーも入れてないしな。
でも詩子、嬉しいことを言ってくれる。
それに外ではちゃんと、
美香ちゃんって呼ばずにお母さんって呼んでいるんだな。
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