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絶対に許さないからね
第11章 大事なもの
「これだ」
兄は言い、封筒を差し出した。
一瞬、お、金か、と思ってしまったわたしは、
もうすっかりと心が汚れてしまっているみたいだ……
「遺言なんだ。父さんから、俺宛ての」
「え、遺言書なんてあったの?」
率直に驚いた。
なるほど、大事なものに違いない。
それ以上ないくらいの。
「ああ。でも遺言書って言っても、
財産をどうこうって内容じゃないんだ」
「うん」
それは頭に浮かんでいなかったので、
まだわたしも汚れきってはいないか。
「母さんのことが書いてある」
差し出した手を引っ込めそうになった。
兄は、わたしの表情の変化を見逃すまい、
というふうに、わたしの顔をじっと見ているのがわかった。
兄は言い、封筒を差し出した。
一瞬、お、金か、と思ってしまったわたしは、
もうすっかりと心が汚れてしまっているみたいだ……
「遺言なんだ。父さんから、俺宛ての」
「え、遺言書なんてあったの?」
率直に驚いた。
なるほど、大事なものに違いない。
それ以上ないくらいの。
「ああ。でも遺言書って言っても、
財産をどうこうって内容じゃないんだ」
「うん」
それは頭に浮かんでいなかったので、
まだわたしも汚れきってはいないか。
「母さんのことが書いてある」
差し出した手を引っ込めそうになった。
兄は、わたしの表情の変化を見逃すまい、
というふうに、わたしの顔をじっと見ているのがわかった。