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絶対に許さないからね
第11章 大事なもの
「なんで今ごろ?」

 かろうじてそう聞いた。
背中がぞわぞわする。
クーラーが効き過ぎで肌寒いくらい。

「お前、母さんのことが書かれた遺言を、
父さん死んですぐのころ素直に読んだか?」

 う。
まあ、読まないな……

 受け取った封筒が、ずしりと重く感じる。

「今のお前なら、もう大丈夫だと思ったんだ」

「わたしはなにも変わってないわ」

 震える手で、中から便箋を取り出す。
二枚重なっている。
拡げてみると、くせのある父の角ばった字が、
左から右、上から下までびっちりと。

「いや文字多いわっ」

 わたしは一旦、便箋を放り出した。
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