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絶対に許さないからね
第14章 許したわけじゃないからね
目を開けると、母は墓石を凝視していた。
いっそ睨みつけていると言ってもいいくらいに強い眼差し。
泣いてしまうのを我慢しているのだ。
今、母の頭の中でおそらく、
十二年間の想いが激しく渦巻いている。
そんな母を見ていられなかった。
わたしは震えている母の肩に手を置き、
案内所にいるね、と言い置いて、
その場を離れた。
今ごろ気づいたけど、見晴らしがよく、
遠くに海が見えていた。
少し標高が高いおかげか、
吹き抜ける風が心地いい。
ところどころにプランターが置かれて、
花がきれいに咲いている。
芝生は清潔に刈り揃えられていて、
墓地じゃなかったら詩子を連れてきて、
東屋でお弁当をひろげるのも楽しそうなのにな、
なんてことをぼんやり考えた。
案内所の中は涼しくて、
無料の緑茶が提供されていた。
海に面した壁面はガラス張りで、
集中しないと聞こえない程度の音量で、
クラシックが流されている。
お茶は無料にしてはいいにおいがした。
墓地なんて陰気なところって決めつけていたけど、
ここは明るく、静かで気取っていなくて居心地がよかった。
いっそ睨みつけていると言ってもいいくらいに強い眼差し。
泣いてしまうのを我慢しているのだ。
今、母の頭の中でおそらく、
十二年間の想いが激しく渦巻いている。
そんな母を見ていられなかった。
わたしは震えている母の肩に手を置き、
案内所にいるね、と言い置いて、
その場を離れた。
今ごろ気づいたけど、見晴らしがよく、
遠くに海が見えていた。
少し標高が高いおかげか、
吹き抜ける風が心地いい。
ところどころにプランターが置かれて、
花がきれいに咲いている。
芝生は清潔に刈り揃えられていて、
墓地じゃなかったら詩子を連れてきて、
東屋でお弁当をひろげるのも楽しそうなのにな、
なんてことをぼんやり考えた。
案内所の中は涼しくて、
無料の緑茶が提供されていた。
海に面した壁面はガラス張りで、
集中しないと聞こえない程度の音量で、
クラシックが流されている。
お茶は無料にしてはいいにおいがした。
墓地なんて陰気なところって決めつけていたけど、
ここは明るく、静かで気取っていなくて居心地がよかった。