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絶対に許さないからね
第14章 許したわけじゃないからね
お茶を飲みながら、
陽光を受けて煌めく海面を遠くに眺めた。
母を想い、父を想った。
遺言で父はああ言ったけど、
母に墓参りなどさせてよかったのだろうか。
わからない。
もっと年を重ねると達観できるようになるのだろうか。
わからない。
もしわたしが父と同じ立場になったら、
銀ちゃんが他に女を作ったりしても、
死の間際には悟りを開いて許せるようになるだろうか。
わから――
いや、わかる。
絶対に許さん。
浮気などしたらどんな目に合うか、
わかっているだろうな銀一郎め!
銀ちゃんの顔を思い浮かべると、
だんだん腹が立ってきた。
新婚でも若くもないけど、
かわいい妻を四ヶ月もほったらかしてよく平気でいられるな。
まさかそっちで女など作っていないだろうな。
ひとりで勝手にぷんすかしていると、
案内所の自動ドアが開いた。
母だ、とわかったけど、
わたしは背を向けたまま、外を眺め続けた。
母が後ろに立った気配。
ガラスに母の姿がぼんやりと反射している。
はっきりと見えないのに、
目を真っ赤にさせていることだけは、
はっきりとわかる。
もう銀ちゃんのことなんかどうでもよくなっている。
陽光を受けて煌めく海面を遠くに眺めた。
母を想い、父を想った。
遺言で父はああ言ったけど、
母に墓参りなどさせてよかったのだろうか。
わからない。
もっと年を重ねると達観できるようになるのだろうか。
わからない。
もしわたしが父と同じ立場になったら、
銀ちゃんが他に女を作ったりしても、
死の間際には悟りを開いて許せるようになるだろうか。
わから――
いや、わかる。
絶対に許さん。
浮気などしたらどんな目に合うか、
わかっているだろうな銀一郎め!
銀ちゃんの顔を思い浮かべると、
だんだん腹が立ってきた。
新婚でも若くもないけど、
かわいい妻を四ヶ月もほったらかしてよく平気でいられるな。
まさかそっちで女など作っていないだろうな。
ひとりで勝手にぷんすかしていると、
案内所の自動ドアが開いた。
母だ、とわかったけど、
わたしは背を向けたまま、外を眺め続けた。
母が後ろに立った気配。
ガラスに母の姿がぼんやりと反射している。
はっきりと見えないのに、
目を真っ赤にさせていることだけは、
はっきりとわかる。
もう銀ちゃんのことなんかどうでもよくなっている。