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絶対に許さないからね
第14章 許したわけじゃないからね
「場所はもう覚えたよね。
次からはひとりで来られるでしょう?」

 沈黙に耐えられなくなって、
振り返りもせずにわたしは言った。

「うん」

 母が隣に座る。
並んで外を眺める。
肩が触れ合うくらい、ぴったりとくっついて。

「美香ちゃん、ありがとう」

 うっかりと聞き逃してしまいそうなくらい、
小さな声。
でも、今まで聞いたどんなありがとうより、
わたしの心に響いてきた。

「許したわけじゃないからね」

 咄嗟に嫌な感じの言い方をしてしまった。
優しさの欠片もないぶっきらぼうな声。
なのに母は、もう怯えた顔をしなかった。

「詩子、ほんとうにいい子ね」

 隣で、遠くを見つめたまま、母は言った。
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