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絶対に許さないからね
第14章 許したわけじゃないからね
「優しいし、よく気がつくし、
人懐っこくて、
私なんかにでも抱きついてきてくれたの。
美香ちゃんも、
詩子がかわいくてしょうがないでしょう?
愛しくてたまらないでしょう?」

「なに言ってるの。当たり前じゃない」

 力を込めて答えると、母はゆっくりと、
穏やかな笑顔になっていった。

「そんな大切な詩子を、
美香ちゃん、私に預けてくれた。
温泉に一緒に行かせてくれた」

 一言一言噛み締めるように言う。

「すごく、すごく嬉しかったの。
一生許してもらえないとしても、
それだけで、もう十分」

 わたしは黙っていた。
なにか言うと涙が溢れてしまうと思った。
母も、もうなにも言わなかった。
心地よい沈黙を、わたしたちはゆっくりと噛み締めた。
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