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絶対に許さないからね
第3章 母のワンピース
 わたしに見つからないように、
こっそり寝室に忍び込む詩子。
憧れのワンピースをそっと手に取り、
鏡の前でどきどきしながら合わせている。
頬を上気させてはにかむ姿が目に浮かぶ。
冷静だったら、抱き締めずにいられないくらい愛しい。
でも、今は頭に血が上ってしまっていた。
これから母に会わなくてはならないということが、
思ってる以上に、わたしに重圧をかけているらしい。

「勝手にひとのもの触っちゃだめって、
いつも言ってるでしょう?
それに美香ちゃんって呼ぶのやめなさいって何度言わせるのっ」

 最近、詩子を言い負かすことがだんだん難しくなっていて、
つい口調が強くなってしまう。
しまった、と思ったけど遅かった。
詩子の目に、みるみる涙が膨らんでいった。

「大きい声出されるの嫌い」

 いつもにこにこ明るい詩子。
無邪気な詩子。
わたしのかわいい、
かわいいかわいい娘。
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