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絶対に許さないからね
第4章 愚かな母
 運転席の兄を斜め後ろから見る。
ずいぶんと白髪が増えた。
すっかりおじさんなんだなーと思う。

 兄と、兄の伴侶であるしのぶさんの間には、
どういうわけか子どもができなかった。
それが原因なのか、
最近あまりうまくいっていないらしいことを、
銀ちゃんから聞いている。
銀ちゃんはときどき、わたしの兄と飲みに行く。

 昔と比べて安全運転になった兄は、
ルームミラーでちらちらと詩子を見ながら質問攻めにした。
十歳ってことは何年生だ?
五年。
学校楽しいか?
まあまあ。
友達いっぱいいるか?
まあまあ。
五年生ならもう好きな男の子いるんだろ?
いないよ。
えーそうか、おっちゃんなんか幼稚園のころから好きな子いたぞ。

 兄よ。
いくら好きな子がいたとて、
女子がそうやすやすと口を滑らすと思うか?
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