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絶対に許さないからね
第1章 暗い水辺
 ふたりだと狭いとさえ思うクイーンサイズのベッドは、
ひとりだと果てしなく広い。

 銀ちゃん、銀一郎、わたしの夫。
彼の不在が身に沁みる。
いれば鬱陶しく感じることも多いのに、
いないとそれはそれで寂しい。

 意識は覚醒しているのに、
なかなか夢の気配を振り払えない。
まとわりつくように、気持ちを重くする。
冗談じゃない、とわたしは思う。
あまりに何度も同じ夢を見るので調べたことがある。
ネット情報なので鵜呑みにはできないけど、
【暗い水辺 夢】で検索すると、
罪悪感を覚えているひとが見る夢、と出てくる。
まったく冗談ではない。
なぜわたしが罪悪感を感じなくてはならないのだ。
それはわたしではなくあのひとだ。
罪を犯したあのひと。
正確には罪には当たらないらしいけど、
そういうことではない。
あのひとがしたことは、
許されるべきことではない。
自分の母親をあのひとなんて呼ぶな、と兄に言われても、
やっぱりそれ以外に呼びようがない。
あのひとがこの夢を見ればいい。
わたしはなにも間違ったことをしていない。
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