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絶対に許さないからね
第1章 暗い水辺
昔の楽しかった家族の思い出を、
素直に楽しかったと思い出せなくなって、
もうずいぶんと時間が経つ。
十年。
いや、詩子が十歳だから、もう十二年になるのか……
思い出すつもりなんかなかったのに、
完全に思い出してしまった。
昔は、母のことが好きだった。
父のことも好きだった。
仲がいいふたりが大好きだった。
父は母のことを愛していたし、
母も父のことを愛していると思っていた。
大切に思っていると信じていた。
ふたりの結びつきは絶対で、
揺るがないものだと思っていた。
でも違った。
突然現れた屑のせいで、
わたしたちはめちゃくちゃにされてしまった。
坂井直人というくそ野郎のせいで、
うちの家族は崩壊した。
そもそもわたしがあんなやつと出会わなければ、と、
後悔してもしきれない。
あいつに抱かれたことがあるなんて、
わたしが一番消し去りたい過去だ。
思い出すたびにおぞましくて、
自分の肉を骨からむしり取りたくなる、
坂井直人はすでにこの世にはいないけど、
でもだからと言ってあいつのしたことが帳消しになったりはしない。
地獄に堕ちていればいいと思う。
素直に楽しかったと思い出せなくなって、
もうずいぶんと時間が経つ。
十年。
いや、詩子が十歳だから、もう十二年になるのか……
思い出すつもりなんかなかったのに、
完全に思い出してしまった。
昔は、母のことが好きだった。
父のことも好きだった。
仲がいいふたりが大好きだった。
父は母のことを愛していたし、
母も父のことを愛していると思っていた。
大切に思っていると信じていた。
ふたりの結びつきは絶対で、
揺るがないものだと思っていた。
でも違った。
突然現れた屑のせいで、
わたしたちはめちゃくちゃにされてしまった。
坂井直人というくそ野郎のせいで、
うちの家族は崩壊した。
そもそもわたしがあんなやつと出会わなければ、と、
後悔してもしきれない。
あいつに抱かれたことがあるなんて、
わたしが一番消し去りたい過去だ。
思い出すたびにおぞましくて、
自分の肉を骨からむしり取りたくなる、
坂井直人はすでにこの世にはいないけど、
でもだからと言ってあいつのしたことが帳消しになったりはしない。
地獄に堕ちていればいいと思う。