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絶対に許さないからね
第4章 愚かな母
「ああ、なんだっけ、オーラ?」

「オーロ、な」

 子どもの代わりに、
というわけではないだろうけど、
でもその、オーロと名付けられたゴールデンレトリバーを、
兄は息子のようにかわいがっている。

 兄がわたしの荷物を持って家の中に入っていく。
詩子も続く。
わたしは、もう逃げられないと観念する。

「よーしよし、いい子だ、オーロ。
覚えてるか?
無理か。まだチビだったもんなぁ」

 兄の弾んだ声。
ひえぇっと詩子の声。

「やだやだ、助けて、ママー」

 玄関に入ると、オーロは詩子にのしかかるように立ち上がり、
キスを迫っているように見えた。
さっきまでふくれっ面してた詩子なのに、
助けをわたしに求めてくれたのが密かに嬉しい。
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