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絶対に許さないからね
第4章 愚かな母
「ほらオーロ、こっちおいで。
おばちゃんのこと覚えてる?」

 詩子から引き離されたオーロは、
今度はわたしを見上げて、わんっと一吠え。
覚えてるって言わんばかりの、いいお返事。
玄関には、わたしがいたころにはなかった手すりが取り付けられていて、
オーロがいたずらするのか、
咬み跡でぼろぼろになっていた。

 オーロの顔を両手で揉みくちゃにしていると、
奥からしのぶさんが出てきた。

「美香さんおかえりなさい。
詩子ちゃん、大きくなったねー」

 履き古したふうのデニムに、
だぼっとした白いブラウス。
髪を後ろでひとつにまとめて、
いかにも人妻って感じのしのぶさん。
どうにも緊張してしまってうまくしゃべれないけど、
いいひと、いいお嫁さんなのは間違いない。
オーロはしのぶさんが現れた途端、
わたしたちには一切目もくれずに、
まるで母に甘えるようにしのぶさんの足にまとわりついている。
なんだ、どうした?
どマザコンだな、オーロくん。
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