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絶対に許さないからね
第4章 愚かな母
「ご無沙汰しています」
膝をつきながらわたしは言った。
感情を圧し殺して発した言葉は、
思った以上によそよそしく響く。
麦茶のグラスをお盆ごと母の前に置くのも、
乱暴な動作になってしまった。
緩みかけた空気が一瞬で引き締まってしまう。
母の顔も強ばる。
そんなつもりなかったのに。
「まだ住職さんくるまで時間あるでしょう?
リビングでゆっくりしてれば?」
その言葉も冷たく、ぞんざいに響く。
「ううん、私はいいの。
ここにいるわ」
逃げるように母は言った。
喉が萎縮しているような、か細い声。
わたしから目を逸らせるその視線の先には、
かわいそうな父の遺影。
まだ裏切られていることを知らない、
元気だったころの穏やかな笑顔。
膝をつきながらわたしは言った。
感情を圧し殺して発した言葉は、
思った以上によそよそしく響く。
麦茶のグラスをお盆ごと母の前に置くのも、
乱暴な動作になってしまった。
緩みかけた空気が一瞬で引き締まってしまう。
母の顔も強ばる。
そんなつもりなかったのに。
「まだ住職さんくるまで時間あるでしょう?
リビングでゆっくりしてれば?」
その言葉も冷たく、ぞんざいに響く。
「ううん、私はいいの。
ここにいるわ」
逃げるように母は言った。
喉が萎縮しているような、か細い声。
わたしから目を逸らせるその視線の先には、
かわいそうな父の遺影。
まだ裏切られていることを知らない、
元気だったころの穏やかな笑顔。