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絶対に許さないからね
第5章 自分だけの世界
「お茶、飲む?」

 詩子の首筋に汗が浮いていたので聞いた。
詩子は首を振ったので、
せめて風だけでも、と思い、
ハンディファンを向けてあげた。

「あー涼しい。いい気持ち」

 歌うように詩子は言った。
目を細めた横顔が、
どきっとするほど大人びて見える。

「夜ご飯、なにか食べて帰る?」

 耳に掛かった髪を直してやる。
羨ましいくらいつやつやの髪。

「あ、それいいねー」

 詩子は顔を輝かせた。
お斎の和食懐石を、
詩子は緊張のためか口に合わなかったのか、
あまり箸が進んでいなかった。
兄も気づいていて、
詩子には料理が大人過ぎたな、と謝ってくれていた。
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