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絶対に許さないからね
第5章 自分だけの世界
「パパいなくて寂しい?」

 周囲に変な誤解を与えないように、
声を落としてわたしは聞いた。
銀ちゃん、二度目の単身赴任。
一度目は、詩子はまだ小さかったからあまりよく覚えていないらしい。

 詩子は、よくわからない、
というふうに首を傾げる。
そしてそんな詩子を見て、
わたしは銀ちゃんに会いたいと思っていることに気がついた。
銀ちゃんの声、銀ちゃんのおおらかな笑顔、
隣で眠る銀ちゃんの、幸せな腕の重さ、
押し潰されてしまいそうな大きな体。
銀ちゃんがいなくて寂しがっているのは、
どうやらわたしの方みたいだ。

 母と会わなくてはならない、
という重圧から解放されて、
ほっとしてだれかに寄りかかりたくなった。
そのだれかとは、やっぱり銀ちゃんだろうな。

 銀ちゃんには、すごくすごく感謝している。
だって詩子と出会わせてくれたのだから。
それだけでも十分、銀ちゃんを選んでよかったと思う。
まあ、少しくらいなら、
詩子の1/100くらいなら、
愛してるって言ってあげてもいいけど。
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