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絶対に許さないからね
第6章 意地悪
「万が一、美香にバレたとしても俺が庇ってやるから、
気にせず行ってこいって言ったんだ。
でも母さん、俺とお前、
ふたりの許可がなければ行かれないって、
その一点張りでさ」

 うつむいて座る母の、
切りつけられそうなくらいに冷たく感じる悲哀の波動。

「行ってもいいけど、ひとりで行かせるのは反対よ」

「お前、まだ母さんが男を作るって思ってんのか?」

「じゃあ逆に聞くけど、
作らないって確証がどこにあんの?」

 兄が大きくため息をついたのが聞こえた。

「そんなに母さんが信用できないなら、
監視役としてお前一緒に行ってこいよ」

 兄に提案され、わたしは、冗談じゃない、と思う。
母と温泉なんて冗談じゃない。
法事のあの短い時間でさえ、ぎくしゃくしたのだ。
一日は耐えられない。
なにをしゃべるのだ。
どんな顔をして過ごすのだ。

「嫌よ。お兄が行ってきてよ」

「おれは無理だよ。仕事休めない」
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