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絶対に許さないからね
第6章 意地悪
「話し合いの余地なし。絶対にだめ。
以上。お兄に代わって」

 こう言えば、母は諦めると思った。
ずっとそうだった。
あの件以来、
母はわたしたちの言うことに逆らったことはない。

 沈黙。
受話器を握り締める母の後ろ姿が、
容易に想像できてしまう。

「美香ちゃん……」

 声が震えている。
いい気味だ、とわたしは思う。
わたしはなにも悪くない。
元々は、母がばかなことをしたのがいけないのだ。
わたしは絶対に悪くない。

 わたしの意見は変わらない、
というしるしに、沈黙を貫く。
壁を睨みつけながら。
知らず知らずのうちに、奥歯を噛み締めている。
膝が震えてしまうのが気に入らない。
喉が渇いて、唾を飲みこもうとしたけど口の中もカラカラだった。
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