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絶対に許さないからね
第6章 意地悪
どうしても行きたい、
と母が言った理由はこれか。
今行かないと二度と行けなくなってしまう。
やはり母にとってこの温泉宿は特別な場所なのだ。
ではなにが特別なのか。
そんな推理を邪魔するような、
騒々しい詩子の足音。
「ぶへぇー、暑ぅーい」
乙女の恥じらい、どこへやった?
よれよれのパンツ一枚きりの詩子が、
バスタオルで髪をがしがし拭きながらリビングに入ってきた。
「そのパンツ、捨てなさいって言ったでしょう?」
「えー、でもすごく履き心地いいよ」
そんなこと言って、
もし突然あんなことやそんなことになったらどうするのだ、
と思ったけど、詩子にはまだ縁遠い話か。
「詩子、冷蔵庫開けっぱなしにしないで」
お茶を出したついでに、
冷蔵庫に頭を突っ込んでいる詩子に、
わたしは言った。
今の濁点のついたような、うーあーは返事なのか?
と母が言った理由はこれか。
今行かないと二度と行けなくなってしまう。
やはり母にとってこの温泉宿は特別な場所なのだ。
ではなにが特別なのか。
そんな推理を邪魔するような、
騒々しい詩子の足音。
「ぶへぇー、暑ぅーい」
乙女の恥じらい、どこへやった?
よれよれのパンツ一枚きりの詩子が、
バスタオルで髪をがしがし拭きながらリビングに入ってきた。
「そのパンツ、捨てなさいって言ったでしょう?」
「えー、でもすごく履き心地いいよ」
そんなこと言って、
もし突然あんなことやそんなことになったらどうするのだ、
と思ったけど、詩子にはまだ縁遠い話か。
「詩子、冷蔵庫開けっぱなしにしないで」
お茶を出したついでに、
冷蔵庫に頭を突っ込んでいる詩子に、
わたしは言った。
今の濁点のついたような、うーあーは返事なのか?