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絶対に許さないからね
第7章 ひとりあそび
 そして詩子も、なかなかしたたかになってきた。
おばあちゃんと一緒に温泉に行ってあげて、
というのが少し無理のあるお願いだと理解しているのか、
ここぞとばかりに、
欲しいものがあるんだけどー、と言い始めたのだ。
詩子は最近、
わたしが聴くとふにゃふにゃした歌い方だと思う、
ドラマの主題歌やCMソングをよく歌うひとがお気に入りで、
それを聴くためにワイヤレスのイヤホンが欲しいらしかった。
ちゃっかりしてやがる、と思いながら、
そんなに高いものでもなかったので、
買ってあげることにした。
でも条件として、ひとりのときにしか使わない、
と約束させた。
おばあちゃんと一緒にいるときは使っちゃだめよ、と。
鼻を膨らませそうな勢いで詩子は、
ひとりのときにしか使わない、と丁寧に復唱した。
嬉しそうな詩子が見られたので、
まあ買ってあげてよかったけど。

 銀ちゃんも詩子もいないというのは、
初めてかもしれない。
そりゃあ昼間はいつだってふたりは不在だけど、
夜になっても帰ってこないのだ、
と思うとやっぱり心持ちが違う。
胸のあたりがすかすかする。
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