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絶対に許さないからね
第8章 宝もの
 セックスは子どもをつくる行為だ、
ということをすっかりと忘れて、
快楽に没頭していた。
セックスに関して、いかに楽しむか、
しか頭になくなっていた。
だから、体調が悪くなっても気づかない。
お腹を壊し、熱っぽいなと思っても、
風邪ひいたと銀ちゃんに文句を言っていた。
生理が遅れているのも、
風邪のせいだと決めつけていた。
風邪のせいで吐き気がするから今日は晩御飯つくらない、
と堂々と宣言すると、銀ちゃんに、
妊娠してるんじゃないか、と言われた。
わたしは笑って、
なに言ってんのそんなことあるわけないじゃん、と、
でも言われてみるともうそれしか考えられなくなり、
わたしは思わず、まじか、とつぶやいていた。

 銀ちゃんに内緒で堕胎することは可能か。
実を言うとそんなことをほんの少し考えた。
今思うと震える。
そんなばかなこと考えるだけでもやめて、と、
あのときのわたしがもし目の前にいたら、
全力でぶん殴ってやる。
お腹に宿っていたのは他でもない、
詩子なのだ。
詩子に手を出すやつは、
だれであろうと絶対に許さない。
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