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絶対に許さないからね
第1章 暗い水辺
下品な言葉遣いを叱りつけようとしたときには、
詩子はもう逃げだしたあとだった。
わたしが怒るのを楽しんでいる。
しょうがない子だ。
わたしが詩子の年齢だったころは、
と思い出しかけて、
やっぱり思い出すのをやめて、
コップに残った水を一気に飲んだ。
クーラーの効いていないリビングは蒸し暑く、
そのぶん、開けっ放しの冷蔵庫から流れ出る冷気が足元に心地いい。
そうだ喪服を出しておかないとな、
と不意に思い出した。
次の土曜日は、父の三回忌だ。
めんどくさいな、と思ってしまう。
違う。
父の三回忌がめんどうなのではない。
きちんと弔ってあげたいって気持ちがちゃんとある。
母に会わなくてはならないことが、
めんどうで億劫なのだ。
詩子はもう逃げだしたあとだった。
わたしが怒るのを楽しんでいる。
しょうがない子だ。
わたしが詩子の年齢だったころは、
と思い出しかけて、
やっぱり思い出すのをやめて、
コップに残った水を一気に飲んだ。
クーラーの効いていないリビングは蒸し暑く、
そのぶん、開けっ放しの冷蔵庫から流れ出る冷気が足元に心地いい。
そうだ喪服を出しておかないとな、
と不意に思い出した。
次の土曜日は、父の三回忌だ。
めんどくさいな、と思ってしまう。
違う。
父の三回忌がめんどうなのではない。
きちんと弔ってあげたいって気持ちがちゃんとある。
母に会わなくてはならないことが、
めんどうで億劫なのだ。