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絶対に許さないからね
第2章 平和な時間
(変わりない?)
(ない)
(おっけー)
( )適当な絵文字、もしくはスタンプ。
いつもの朝の、
夫とのラインでの短いやりとり。
これだけで事足りる。
夫、銀一郎と初めて出会ったとき、
まったくなにも感じなかった。
結婚したいと思えるくらいの男なら、
会った瞬間になにか運命的なものを感じるものだと思っていたのに、
まったくなにも、そう、まるで空気だった。
目の前からいなくなると同時に、
記憶からも消えてしまうくらい、
無色透明無味無臭だった。
それが今、こうなっているのは、
なんて言うか、うまくするりと、
心の隙間に入りこまれたような感じ。
新しい彼氏でもつくるかと思ったとき、
たまたま銀ちゃんが近くにいて、
見透かされていたようなタイミングで猛アタックされた。
最初は適当にあしらっていたのだけど、
だんだんと断り続けるのがめんどうになり、
まあ論外って感じでもなかったので、
一度だけのつもりでホテルに行った。