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絶対に許さないからね
第8章 宝もの
 十三週くらいでようやく悪阻は落ち着き、
やれやれと思った。
気持ち悪くないのが嬉しくて、
ついつい、もうちょっと、
とご飯を食べ過ぎた。
銀ちゃんとお風呂に入っているときに、
ちょっと腹出てきたか、と言われ、
だからわたしは咄嗟に、
だれがデブだ、と手が出てしまった。
銀ちゃんは頭をさすりながら、
そういう意味じゃないよ、と言ったけど、
わたしは自覚がなかったので、
どこを見ているのだ、
それよりちょっとおっぱいが大きくなったとは思わんのかね、
と憤慨していた。

 銀ちゃんの子どもをお腹に宿し、
銀ちゃんとようやくほんとうの家族になれたと実感していた。
銀ちゃんと結婚するまで、
わたしは孤独だった。
それまでの人生がぐるんとひっくり返って間もない時期だった。
もう元には戻れないくらいぐちゃぐちゃで、
原型を留めないほど破壊されていた。
実家にはもう帰りたくなかった。
母を母親だと思いたくなかったし、
そんな母の味方をする父も敵だった。
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