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絶対に許さないからね
第9章 赤いリボン
「詩子」

 呼んでみたけど、
周囲の雑音にかき消されたようで、
詩子は気づかない。
わたしを探しているらしく、
きょろきょろしている。
ちょっとだけ不安そうに見え、
それがまたすごく愛らしい。
はやく安心させてあげたくて、
ほとんど飛び上がるようにして両手を振った。
それに気づいた詩子が笑顔になる。
わたしを見つけて嬉しそう。
ああ詩子。
わたしの詩子。
一秒でもはやく抱き締めたい。
でも慌てない。
慌てて走ると事故の元だ。
わたしは道路を渡ろうと、左右を見た。
ほら見なさい。
危ない危ない。
大きなバイクが、
すごいスピードで迫ってきている。
道路の脇で踏みとどまり詩子を見ると、
詩子はわたししか見ていない。
まるで小鹿のように、
走り出そうとしている。
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