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絶対に許さないからね
第9章 赤いリボン
だめっ、ちゃんと左右確認して。
そう言おうとしたけど声が出なかった。
舌が上顎に張りついて動かない。
バイクの音が迫ってきている。
爆音だ。
もうすぐそこまできている。
なぜ気づかないの。
詩子の耳に白いものが見える。
そうかイヤホンだ。
わたしはたちまち、
詩子にワイヤレスのイヤホンを買ってあげたことを後悔する。
聴覚を塞いでしまうことの危険性を、
もっとしっかりと教えておかなくてはならなかった。
目の端にバイクが映る。
詩子はもう道路の脇まで駆け寄ってきていて、
そのまま飛び出そうとしている。
詩子だめっ、走らないでっ
声が出ない。
息もできず、動けもしなかった。
もうだめ。
もう間に合わない。
お願い、だれか助けて。
わたしから詩子を奪わないで!
ようやくバイクに気づいた詩子の、
驚愕の表情が目に焼きつく。
胃のあたりがずんと重くなって、
指先から顔から、血の気が引いていく。
やけにバイクの動きがスローモーションで――
そう言おうとしたけど声が出なかった。
舌が上顎に張りついて動かない。
バイクの音が迫ってきている。
爆音だ。
もうすぐそこまできている。
なぜ気づかないの。
詩子の耳に白いものが見える。
そうかイヤホンだ。
わたしはたちまち、
詩子にワイヤレスのイヤホンを買ってあげたことを後悔する。
聴覚を塞いでしまうことの危険性を、
もっとしっかりと教えておかなくてはならなかった。
目の端にバイクが映る。
詩子はもう道路の脇まで駆け寄ってきていて、
そのまま飛び出そうとしている。
詩子だめっ、走らないでっ
声が出ない。
息もできず、動けもしなかった。
もうだめ。
もう間に合わない。
お願い、だれか助けて。
わたしから詩子を奪わないで!
ようやくバイクに気づいた詩子の、
驚愕の表情が目に焼きつく。
胃のあたりがずんと重くなって、
指先から顔から、血の気が引いていく。
やけにバイクの動きがスローモーションで――