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絶対に許さないからね
第10章 十二年
「ミステリアスの意味、知ってるの?」

 聞いたけど、
詩子は別のことに気を取られているようで答えない。
せっかく剥いてあげたリンゴにも、
手をつけようとしない。

「おばあちゃんって、
昔はどんなひとだったの?」

「なになに、なんかあったの、
どうしたの?」

 不穏な感じがした。
詩子はおばあちゃんに、
興味なんかなかったのに。

「おばあちゃんね、
お化けでもいいから会いたいひとがいるんだって」

 たっぷり五秒くらい、時間が止まった。
詩子が言ったことの意味を、
頭が理解するのを拒否したようだった。

「ちょっとなにそれ。詳しく教えなさい」

 わたしの声色と表情が、
よほど変わったのだろう。
詩子は急に逃げ腰になって、
わたしから離れようとした。
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