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情報ねずみは眠らない~情報屋の淫らな仕事~
第1章 探偵の裏の顔
繁華街を離れ、オフィス街へと少女は足を進める。
コンコンと身軽に鉄製の階段をのぼり、古ぼけたビルの3階、探偵事務所の扉を開けた。

足早に事務所へ入り、ノートパソコンが置かれたデスクに座ってようやく一息つく。
程無くして少女が入ってきた扉からもうひとり、男が入ってきた。
この探偵事務所の所長兼現役の探偵、銀次だ。
「おかえり~ひなちゃん~。どおだった?データの引き渡し」
「いつも通り、問題なかったよ」
「そっか~、良かった。俺、ひなちゃんが悪い奴にレイプされちゃわないかいつも心配なんだよね~」
「普通、私みたいなのは相手にされなから、この世界でやっていけるんでしょ」
ひなと呼ばれた少女は、自虐的に笑みを浮かべて銀次に目をやる。

ニコニコヘラヘラと、年中軽薄な笑顔を貼り付けた男。
歳の頃なら20代後半、中肉中背で他人に警戒心を抱かせぬ不思議な雰囲気を持ったこの男こそ、ひなを裏社会に連れ込んだ張本人であった。
「そんなことないよぉ~、ひなちゃんみたいな子が好きなヤツだっているんだから。えっと~…ろりこん?ってやつ?」
「ロリコンて…私一応今年二十歳になるんだけど…」
「ひなちゃん童顔だもんね~」
ひなはパーカーを脱ぎ、適当にほうった。その様子を見て銀次も着ていたモスグリーンのコートをハンガーに掛ける。ついでにひなが投げたパーカーを拾い上げ、掛けた。
「も~ひなちゃん女の子なんだから、きちんとしないと~」
「…どうせ女らしくないもん」
先程の下卑た男からも、銀次からも子供扱いされ、ひなはぷいとそっぽを向く。
銀次はくっくっと笑い、ボウタイを緩めながらオフィス椅子ごと、後ろからひなを抱きしめる。
顔を寄せて、ひなの耳元で優しくささやいた
「…まぁ、俺は今のひなちゃんが好きだけどね~」
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