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第3章 御曹司の裏の顔

「…わ、私は……」

ここまで来たが、正直この千里という男が信用できるのか、どこまで自分の話をすればいいのかを考え、ひなは言葉を詰まらせる
そんなひなを見て、千里は黙って立ち上がりデスクに向かった

「うーん、まあいきなりだし、僕のこと信用できないよね…」

また考えを読まれて、ひなはギクリと肩をすくめる

「先に、キミを部屋に呼んだ理由を教えてあげようか」

千里はそう言うと、デスク上のノートパソコンと一冊の本を手に、ひなに近付いてきた
本をひなに渡し、隣にしゃがみ込んだ千里はパソコンの画面を見せる

そこにはずらりと並んだ文章が、いくつも列を成していた

「・・・・？」

「その本、知ってる？」

現状を把握できないひなに、千里は続けた
ひなに渡された本は、昨年映画化もされた有名な小説だった
確か、内容は少々過激な恋愛モノだった気がする

「それの作者、僕」

「…ええ！？」

思わぬ一言にひなは丸い目で千里を見る
その様子が可笑しかったのか、千里はぷっと吹き出していた