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情報ねずみは眠らない
第4章 情報屋の前の顔【前編】
ひなの目はギラギラとした怒りで涙を流している
その奥に憎悪の強い意志があるのを、男は見逃さなかった

「・・・・あはは、君を連れて帰ってきて、正解だったよ~。新薬の人体実験に使って、成功しても失敗しても、適当にどこかに売っちゃおうと思ってたんだけどね~」

男はおかしそうに身体を揺らしている

「でも、そんなに言うなら、俺が君をこの世界で生きてけるように、協力してあげる~」

「……っおい!何言って…!!」

焦る蓮谷をスルーし、男は続ける

「俺、銀次。探偵事務所の所長してるんだ~。君は…そうだなぁ、本名からとって、これからは『ひな』ちゃんって呼ぶね~。あ、わかってると思うけど、ひなちゃんは世間から見たら死んだ存在だから、本名とか、過去のものはすべて捨ててね~」

トントン拍子に話を進める銀次に、後ろの蓮谷は呆れ顔だ

「まぁ、何にしても、ひなちゃんの怪我を治すのが優先だね~。先生、どう?新薬、使えそう?」

「……こいつに使うには勿体ない薬だ…」

吐き捨てるように言う蓮谷

「じゃあね、ひなちゃん。俺は仕事に戻るけど、時々顔見に来るよ~。」

「あっ…銀次…さん…」

ひなは銀次を呼び止め、声を絞り出す

「…ありがとう」

「…あは、やっぱりひなちゃんって、馬鹿だね」
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