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情報ねずみは眠らない~情報屋の淫らな仕事~
第4章 情報屋の前の顔【前編】

夢を見ていた
遠い記憶の糸を辿るように、ひなは幸せな家族の夢を見た
まだ小学生の自分と弟
引っ越しを済ませ、新築祝いに両親の会社の同僚や、大学の講師も頼まれていた父を慕う学生たちを集めて食事会を開いたことがあった
客人に遊んでもらいながら、ひなは楽しそうに笑う父と母を見た
その日は思い切りはしゃいで、いつもよりたくさん母の料理も食べた
今は焼け落ち、もう無い家
もういない、二度と会えない家族
明晰夢だ
胸が張り裂けるほどの悲しみに気付かないふりをして
夢の中でだけ会える、家族を抱きしめた

