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波の音が聞こえる場所で
第5章 湯口の上の狸に独り言をぶちかましてやる
 ナイスなバディ(付け加えるならボディでは絶対だめだ。バディが正解)をしている女性のことを考えるのは一旦やめにしよう。今大切なことは僕の目の前で怯むことなく、堂々とそのいつもつ? ではなく二つの金玉を僕に披露してる狸との対話だ。僕の眠気を消し去るには、だらりと二つの金玉をぶら下げているこの狸との話し合いが必要だ。
 間違いなくそれは不毛な議論(話し合い)になるであろう。それでいいのだ。彼との対話が、どこかでうまく決着がつくものだとは思わない。それに無口な彼は話すことを拒否するだろう。だから僕は彼の言い分を僕が代わりに言ってやらなければならない。彼の心をよんで彼が言いたいことを正確に言ってやらなければならないのだ(公平であることは地球で生きる上で絶対に守らなければならない)。面倒だがこの方法しか彼は対話のテーブルにはつかない。
 だから僕は始める。着地点などないバカバカしいディスカッションを。いざ。
「ようキンタ」
 自分で言うのも何だが、彼のことをキンタと名付けてしまった己の絶望的なセンスのなさに、僕は情けなさを通り越して呆れてしまった。
「よう、でかいの。背が高いという意味だから勘違いするなよ。俺は決してお前ごときのち〇ぽをでかいとはミジンコも思っていない」
「ミジンコじゃなくて微塵だろ」
「久しぶりにしゃべったんだ、そのくらいは許せ。それとも重箱の隅をスプーンでほじくるくらいお前は鬱陶しいやつなのか?」
「スプーンで重箱の隅はほじくることはできない」
「あーいちいちうるさい奴だな。お前に一ついいことを教えてやるよ。隣街の朱雀は洋食器で名をはせた街だ。だから楊枝をスプーンにしたんだよ。狸だと思ってバカにするなよ、俺は気遣いのできる狸なんだ。別に朱雀に恩を売るつもりはないがな」
「僕はお前ではない。翔、坂口翔だ」
「よう、かけちゃん」
「かけちゃん?」
「でもさ、かけちゃんが世界に羽ばたく日なんてないんだろうな……残念な奴だ」
「大きなお世話だ」
「大きなお世話をかけちゃんのために俺がしてるんだよ。ありがたいと思えよ」
「全然ありがたくない。ところでキンタ、キンタは僕以外の誰かと話したことがあるのか?」
「めっちゃあるで」
 若干関西訛り。
「そいつはどんなやつだったんだ?」
「かけちゃんと同じだよ」
「僕と?」
「そう、かけちゃんと同じ」
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