この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
波の音が聞こえる場所で
第2章 JR上野駅と演歌についての考察、そして子供たち
 そしてなぜか演歌とJR上野駅には切っても切れない縁がある、と僕は思う。大昔JR上野駅は北に向かう玄関口だったと聞いている。国鉄と名乗って言っていた時代。JRの株式がまだ公開されていない時代。僕がまだ生まれていない時代。
 僕にとって今のJR上野駅は……とにかく外人が多くて、うるさくて(外国の人のことを言っているのではない)……、そう言えば一回目の童貞喪失(僕は一回目の童貞喪失を童貞喪失とは認めていない。ていうか童貞喪失は一回でなければならない)は上野駅に近い風俗店だった。日本語がたどたどしい僕より十歳くらい年上の人だった。確かペニスの大きさを褒められたような気がする(いや褒められた)。
 いやいや違う。僕のペニスについてあれこれと考えるのはまたの機会にしなければならない(する必要なんて全くないが)。今大切なことは演歌とJR上野駅についてだ。
 僕が演歌の作詞家だったら絶対に上野駅は外さない。北国、雨よりは雪。もちろんしんしんと降る雪。そして山ではなく海辺の街。でもって訳アリ風の四十くらいの女将がいる一杯飲み屋。ここは居酒屋より一杯飲み屋が断然いい。一杯飲み屋の方が居酒屋よりふくらみがある。そこに男と女のぐちゃぐちゃの話を混ぜ込めば、ジャンル別のヒットチャート(こういう言い方が今まだ存在しているのか僕にはわからないが)百位以内には入ることができる(絶対にそんなことはない)。
 つまり僕にとってのJR上野駅は哀愁に満ちた北へ向かう出発駅(同時に終着駅)なのだ。いや、出発駅でなくてはならないのだ。
 ところがどうだ最近のJR上野駅……全然違うじゃないか!ブルートレインはいない。夜汽車という言葉もいつの間にか死語になった。でも、めっちゃ人が多い。
 JR上野駅に限ったことではないが、最近駅員さんの姿を見ない日がある(僕が気にしていないせいかもしれないが)。これが合理化というものなのか、これがキャッシュレス時代の有様なのか、これがスピードだけを求める……、それからインバウンドの……。
 あれこれ考えれば考えるほど、残念ながら僕は僕のひもじさに辿り着いた。
 僕の逃走は上野駅から出なければならない。東京駅から南の方なんて僕からお断りする。逃走は辛くて厳しくて……寒くなければならないはずだ(後々後悔するのだが)。
 新幹線駅JR大宮に僕の乗った新幹線が入線した。
/10ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ