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波の音が聞こえる場所で
第6章 救世主現る
 まさか僕のキンタが性別不明だったとは……。男風呂にいるわけだから男だと決めつけた僕が悪い。男風呂に女の狸がいてもいいじゃないか。僕は常識にとらわれ過ぎたのだ。男風呂には男と言う世間の決まり事。決まり事はルールであり、それを逸脱することは世間では絶対に許されない。
 そして、これを見よと言わんばかりに堂々と垂れ下がった袋? を金玉と勝手に思ってしまった。誰があれを腹の皺だと認識できるだろうか?
 ただ僕は後悔などしていない。僕はキンタ(今でも彼はもしくは彼女はキンタだ)との話し合いに満足している。とても有意義な時間をあの風呂の中で過ごせたのだ。僕はラッキーだった……ということにしておこう。
 風呂から上り、エネルギー補給をして僕は山水旅館を出発……しなかった。それはもうめちゃくちゃ眠かったのだ。僕はご主人にこう頼んだ。廊下でも脱衣所でも構わないので少しだけ寝かせてくれと。
 ご主人は笑って僕の願いを受け入れてくれた。僕は大広間のストーブの前で大の字になってたっぷり二時間寝た。起きたとき、僕に毛布が掛けられていることに気付いた。僕ごときに毛布とは、嬉しすぎて涙が出そうになった。
 出発のとき、僕はご主人からありがたいアドバイスを受けた。この時期(年末から年始)、寺泊の魚市場は盛況になる。盛況とはつまり人手不足。間違いなく人手が足りない魚市場のどこかの会社は人間を募集する。
「お客さんは若いし、ガタイがいいからアルバイトなら採用されるんじゃないのかな」
「まじですか!」
 僕はご主人から頂いた貴重な情報を頼りにして海街寺泊に向かうことに決めた。やはり逃走の先は海の街だ。そこには一杯飲み屋があって、でもって四十くらいの女将さんがいる。海街、そして四十くらいの女将さん、ここだけは絶対に譲れない。
「寺泊まで少しあるから送ってあげますよ」
 山水旅館ご主人の好意。
「ありがとうございます。でも僕は自分の足で寺泊まで行きます」
 格好つける僕。やがてそれは後悔に繋がっていく(ドラマでよくあるお決まりのパターン)。
「疲れたときにこれ食べてください」
 ジップロックの中に白い二つの物体が見えた。
「何ですか?」
「弥彦名物パンダ焼き」
「パンダ? 焼き?」
「美味しいですよ」
「ご馳走様です」
 僕はパンダを……いやいやパンダの形をしているお菓子を頂いた。
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